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西村直人のACC最前線

第14回 ACCと「衝突被害軽減ブレーキ」はどこが違うの?
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ACCは必要に応じてシステムが自動的にブレーキをかけますが、同じくブレーキ制御を行う「衝突被害軽減ブレーキ」とはどこが違うのでしょうか?

システム上の決定的な違いは、ACCが前走車との車間距離を保つ「運転操作をサポートする機能」であるのに対して、衝突被害軽減ブレーキは前走車や停止している車両などとの衝突が予測される場面で、ドライバーへの警報と自律自動ブレーキを働かせ、衝突を回避、もしくは衝突時の「被害を軽減する機能」である点です。言い換えれば、日常の運転でドライバーの意思によって介入させ身体的疲労を軽減するのがACCで、緊急時に限って車が自律的に介入しドライバーの身を守ってくれるのが衝突被害軽減ブレーキです。

作動内容にも大きな違いがあります。ACCは前走車に対する追従走行が主たる目的であり、第4回で解説しているとおり、車間時間に対してもドライバーが任意の段階を選ぶことが可能です。また、ACCのシステムに許されている加速度(アクセル制御)や減速度(ブレーキ制御)には、国土交通省によって上限値が定められています。

さらに、ACCは高速自動車国道や自動車専用道路での使用を前提にセンサーの認識範囲や認識性能が定められているため、たとえば一般道における歩行者の急な飛び出しには対応しきれません。あくまでも追従走行時におけるドライバーの運転操作をサポートするにとどまります。

衝突被害軽減ブレーキでは、ACCと違ってアクセル制御は行われません。自車がそのままの速度で走行した場合、進路上の前走車や停止車両などとの衝突が避けられない時に限りブレーキ制御(減速度の下限値は国土交通省による規定あり)が介入します。しかし、いきなり自律自動ブレーキが作動するのではなく、その前段階で音や振動による警報がドライバーに対して発報されます。

発報は第一段階と第二段階の2回行われますが、いずれも「Time to Collision/衝突予測時間」に応じて決められていて、第一段階ではドライバーのブレーキ操作などで衝突が回避できるタイミング、第二段階ではドライバーのブレーキ操作などでは衝突が不可避とされるタイミングに設定されています。従って、衝突被害軽減ブレーキの自律自動ブレーキに頼った運転はできません。

さらに衝突被害軽減ブレーキでは、車種や搭載しているセンサー種類の違いに加え、同じ車種であっても年式によって警報の種類や、介入可能な速度域と減速度合いに違いがあります。自車の性能については取扱説明書などで確認しておきましょう。

ACCと同様に、衝突被害軽減ブレーキにも限界があります(第7回)。また、正しくセンサーが認識しブレーキ制御が行われ、衝突回避可能とされる相対速度であったとしても、滑りやすい路面では回避できない場合があります。衝突被害軽減ブレーキの主たる目的は、第一段階の警報を認識したドライバーが一瞬でも早くブレーキ操作を行うことにあります。

ACCと「衝突被害軽減ブレーキ」はどこが違うの?

衝突被害軽減ブレーキのセンサーには大別して、ミリ波レーダーセンサー(赤線で囲んだ部分)、赤外線レーザーセンサー、光学式カメラセンサーの3種類が存在し、そのいずれか、もしくは複数の情報を組み合わせながら前走車や停止車両など認識し、必要に応じて警報を出しつつ自律自動ブレーキを介入させます。

公開日 2015年03月25日

西村 直人氏(交通コメンテーター)

西村 直人【交通コメンテーター】

特別編「CACCを試してみた」

1972年東京都生まれ。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。得意分野はパーソナルモビリティだが、WRカーやF1、2輪界のF1であるMotoGPマシンの試乗もこなす。近年では大型のトラック&バス、トレーラーの公道試乗も行うほか、HVのバス&電車など、物流や環境に関する取材も多数担当。2007年度東京都交通局バスモニター。「JAF Mate」誌では、本誌初の二輪連載企画を4年間担当。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。

  • 日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事(ITS分科会リーダー)
  • (財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員
  • (協)日本イラストレーション(JILLA)協会 監事
  • 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2010年度から)

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