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HOME >  第25回 ブレーキとステアリングを連携させた“人を守る”技術 -西村直人の「これからの自動運転、みんなの技術」

西村直人の「これからの自動運転、みんなの技術」

目前に迫る「自動運転」の時代。わが国の政府も2020年までの実用化を掲げています。
ハンドル操作が不要になる? 前方車両の追い越しまで車が自動でやってくれる?
いやいや、実は「自動運転」ってそれだけじゃありません。
自動運転の開発によって培われた技術は、さまざまな分野への転用が期待されています。
自動運転の技術と、その自動運転が変革していく社会を、最新情報を織り交ぜながら、
このコラムでは解説していきます。

第25回 ブレーキとステアリングを連携させた“人を守る”技術
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ブレーキとステアリングを連携させた“人を守る”技術(イメージ)

「ACC」とセンサーを共有する「衝突被害軽減ブレーキ」との機能的な違いや、お互いの関係は「ACC最前線 第14回」「同 第16回」で紹介しています。衝突被害軽減ブレーキは衝突を回避する運転支援技術として世界中で普及が進んでいて、すでに日本国内で販売されている大型車にはGVW(車両総重量)や発売時期ごとに段階的な装着義務化が施行されています。

当初、衝突被害軽減ブレーキは車両や障害物を対象物として認識し、それらとの衝突が避けられない場合に警報→自律自動ブレーキという流れを経て衝突の回避を支援してきました。その後、立ち止まっている人の認識が可能になり、現在では自車の前方を横切る歩行者の認識ができるようになるまで技術は昇華されています。

さらにその最新技術として、自律自動ブレーキ制御に加えて自動的にステアリングを操舵する衝突被害軽減ブレーキが2017年秋に登場する国産車に搭載されます。「プリクラッシュセーフティ (歩行者注意喚起・アクティブ操舵回避支援)」と名付けられたこの先進安全技術では、歩行者の存在を大型ヘッドアップディスプレイに表示して警報ブザーと共にドライバーに対する最大限の①「注意喚起」(≑ブレーキを踏ませる/ステアリングで回避をさせるなど)を行います。それでもドライバーが反応しない(できない)場合には、②「自律自動ブレーキ制御による減速」とともに、自動でステアリングを操舵し回避を支援する③「アクティブ操舵回避支援」が介入します。この①~③の機能は連携して行われ、いずれの段階でもドライバーが反応し回避操作を行った時点でシステムの介入は停止し、ドライバーの操作が優先されます。

今回、その先進安全技術を搭載した試験車に試乗して、自車速度65km/hで歩行者ダミー(車道側に歩行者をイメージ)に向かって走行した場合の①注意喚起と、最終的にその歩行者ダミーとの衝突を②自律自動ブレーキ制御と③ステアリング操舵で回避支援する状況を体感しました。

まず、歩行者ダミーとの距離が約35mにまで近づくと警報ブザーが鳴り、約0.8秒後に自律自動ブレーキ制御が入ります。しかし、自車速度が速いためブレーキによる減速だけでは衝突が避けられません……。と思った次の瞬間、ステアリングが右に50度程度、左に40度程度、自動的に急速に操舵され、ギリギリ(距離は5㎝程度)で歩行者ダミーとの衝突を回避することができました。

技術の粋を集めたすばらしいシステムですが、正しく機能させるには、センサーが正しく外界情報を認識できていることが重要です。とりわけステアリング操舵は自車の車線内でのみ機能する、つまり対向車線やとなりの車線にははみ出さないようにプログラミングされているため、道路上の白線などが正しくペイントされていて、さらにそれを車載の光学式カメラが認識していなければなりません。また当然ながら路面が濡れていたり、砂が浮いていたりするなど滑りやすい路面では、タイヤが横滑りして急速に行われるステアリング操舵では進路が変えられない場合も考えられます。このシステムを開発した自動車メーカーでは、「この先進安全技術を数年以内に普及させたい」としていますが、ユーザーはシステムの物理的な限界を理解するとともに、過信することがないよう取扱説明書などで確認しておくことが大切です。

歩行者ダミーとの衝突回避を支援するステアリング操舵が機能しているところ。今後は、今回のプリクラッシュセーフティ (歩行者注意喚起・アクティブ操舵回避支援)のように、これまで培われてきた技術と、生み出された技術との融合による新たな先進安全技術が数多く登場します。これらは「高度運転支援技術」と呼ばれ、ドライバーの運転操作を支援するものとして広く普及し、将来の自律自動運転技術へと引き継がれます。

公開日 2017年08月21日

西村 直人氏(交通コメンテーター)

西村 直人【交通コメンテーター】

特別編「CACCを試してみた」

1972年東京都生まれ。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。得意分野はパーソナルモビリティだが、WRカーやF1、2輪界のF1であるMotoGPマシンの試乗もこなす。近年では大型のトラック&バス、トレーラーの公道試乗も行うほか、HVのバス&電車など、物流や環境に関する取材も多数担当。2007年度東京都交通局バスモニター。「JAF Mate」誌では、本誌初の二輪連載企画を4年間担当。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。

  • 日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事(ITS分科会リーダー)
  • (財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員
  • (協)日本イラストレーション(JILLA)協会 監事
  • 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2010年度から)
西村直人のACC最前線

過去の連載はこちら

日々進歩していくACC。ACCの歴史から技術の未来まで、じっくり解説します。 連載期間:2014年9月~2016年3月

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