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西村直人の「これからの自動運転、みんなの技術」

目前に迫る「自動運転」の時代。わが国の政府も2020年までの実用化を掲げています。
ハンドル操作が不要になる? 前方車両の追い越しまで車が自動でやってくれる?
いやいや、実は「自動運転」ってそれだけじゃありません。
自動運転の開発によって培われた技術は、さまざまな分野への転用が期待されています。
自動運転の技術と、その自動運転が変革していく社会を、最新情報を織り交ぜながら、
このコラムでは解説していきます。

第20回 フランスで見て乗った トゥールーズ編
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フランスで見て乗った  トゥールーズ編

2016年に訪れたフィンランド(第7回)とスイス(第8回)に引き続き、今回はフランス。訪れたのは中核都市のひとつ「トゥールーズ」です。テラコッタ煉瓦で造られた建物が織りなす街並みは、どこもうっすらとピンク色で、とても上品な印象を持ちました。今回も自転車や二輪車、三輪車以外にもさまざまな乗り物たちと出会うことができましたが、市内を歩き回ってみるとその道幅がとても狭いことに驚きます。また、EV(電気自動車)以外の電動化された乗り物たちが多いことも発見でした。今回は、そんなトゥールーズ市内を散策して見つけたユニークな乗り物や交通事情をお伝えします!

早朝のトゥールーズ市内です(01)。車幅は狭いだけでなく歩車分離の支柱が立てられており、歩行者の安全が優先されていることがわかります。また、その支柱も車高の低い乗用車の運転席からちゃんと見えるので、道路の見切りを行う際のガイドラインとして活用(02)できます。このように、歩行者とクルマの両方にやさしい道路設計が成されていることが分かります。一方で、こうした歩車分離が徹底された市内では、大型車の設計も大変(03)です。このように車両の速度を低下させるために設けられたブロックを高い位置にある運転席から確認できなければならないため、死角の少ない車両設計が求められます。市内にはEVが数多く走っており、また、小型バスも電動化(04)されていました。気持ちの良い朝を迎えられるのはこうした静かな街づくりのおかげかもしれません。

市内には世界中の各都市にあるように「レンタサイクル」のスポット(発着点)が設けられています(05)。トゥールーズのそれも事前に会員登録(06)しておけば、市内のスポット間を自由に行き来することができます。前後輪の間に大きな箱を抱えた配送用の自転車(07)も、こうした都市ではお馴染みです。この自転車で配送を行っているお兄さんにお話を伺ってみると「重量のかさむ荷物を前後輪で挟み込むから、荷物を満載していてもフラつくことがなく安定しているよ。でも、この車両はちょっと古いので電動アシストがないから橋を渡るのが大変かな!」とのこと。子供さんを乗せた自転車も街中を疾走(08)します! 子供さんがヘルメットを被っていたら、さらに良かったかな!?

日本では公道走行不可の1人乗り電動一輪車(09)を発見! ここフランスでは合法なのかな……。どんな走りなのか走行シーンの動画(動画01)をご覧ください。フランスではもともとスーツでもバイクに乗るくらい二輪車の人気が高くて有名(冬場はこのように膝掛けをバイクに装着)です(10)が、ここ10年ほどは前2輪、後1輪の三輪車(11/12)の販売比率が高まってきています。これは滑りやすい石畳でも安定した走行性能を発揮したり、トラムなど路面電車のレールにタイヤが取られにくい場所でも安心して走らせたりすることができることが理由です。

自転車の後ろに子供を乗せたり荷物を運んだりすることができるリヤカー(13)です。自転車のフレームに自由度のあるガイドが装着されており、自転車の動きを妨げないよう健気についていきます。ベビーカーも前後に座らせるタンデムタイプ(14)をよく見かけました。タイヤもずいぶんしっかりしています。年を重ねていくと今度は車いす(15)のお世話になるのは万国共通。電動アシスト機能付きの車いすも見かけました。そうかと思えば、颯爽とローラースケートを駆る女性(16)がいたり、キックスケーターで元気に走り回る子供(17)がいたり、さらにはセグウェイ(立ち乗りEV)を愛車にする男性(18)がいたりと、自由の国、フランスを垣間見るようです。

クルマに乗って市内の中心部へと入るには制限(19)があります。車両の流入量を制限するため予め登録した車両でなければ中心部には入れません。強引に入ろうとしても地面に設置された鋼鉄製のバー(20)が行く手を阻みます。中心部に入るには、支柱に設けられたセンサー部分にカードをかざすか、インターフォンで係員にその旨を伝えて(21)鋼鉄製のバーを下げてもらいます(22)。

我々の感覚からすると路地裏のようですが、トゥールーズでは立派な道路(23)です。道路標識にはちゃんと優先順位と規制速度(24)が示されています。信号機もどことなくおしゃれなデザインですが、よく観察してみると信号機の支柱は運転しているドライバーには気にならないようアーチを描く(25)など、被視認性も非常に高い(26)ことがわかります。さらに信号機は、このように目線よりも下の位置にも設置(27)されています。これは停止線が信号機の近くにあるため、先頭車両からは上部の信号機が見えません。下に設置された小さな信号機は先頭車両用(28)です。狭い道路が多いトゥールーズでは必ずしも大きな信号機が設置できないため、こうした小さな信号機が活躍しているのです。

自転車専用通行帯を車内から見る(29)とこうなります。日本では水色に区分けされている自転車専用通行帯ですが、トゥールーズでは緑色(30)です。街並全体がピンク色のトゥールーズにはぴったりのコントラストですね。自転車に乗られる人たちのマナーはとてもよく、進路変更を行う際は、このように(31)手信号で他車へ意思表示を行っています。フランスは古くから混合交通が徹底された国のひとつです。車道での停止位置はこのように(32)最前列!

人気があるのはこうした小さなボディのクルマ(33)です。こちらはトゥールーズ市内を走行している動画(動画02)です。また、小さなクルマはガソリンやディーゼルといった内燃機関だけでなくEV(電気自動車)としても多く販売されています。メルセデス・ベンツのスマートと呼ばれる2人乗り/4人乗りの小型車にもEVが用意されています。充電している(34)のは2人乗りの「smart fortwo」と呼ばれるクルマです。こちらは(35)はRenault Twizy(トゥイージー)と呼ばれるEVで、日本ではNISSAN New Mobility CONCEPTとして実証実験が行われています。狭い街並でもスイスイと走れる取り回しの良さは一度乗ってしまうと病みつきです。とはいえ、公共交通機関の代名詞であるバスは日本よりも大きく(36)、街中では苦労しそうですが、観察してみると、周囲のクルマたちはちゃんとバスを優先して通していました。譲り合いの精神も徹底しているようです。狭い場所の有効活用として地下駐車場(37)も点在していました。その昔、弾薬庫やシェルターであったものを再利用している場所もあるそうです。運転手さんたちの技量も高く、こちらの動画(動画03)のように駐車枠からはみ出さないようちゃんと止まっています。最近のクルマは横方向の衝突安全性を高めているため車幅がちょっと大きめでタイヤがちょこっとはみ出てしまう(38)のはご愛敬ですね。

公開日 2016年03月10日

西村 直人氏(交通コメンテーター)

西村 直人【交通コメンテーター】

特別編「CACCを試してみた」

1972年東京都生まれ。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。得意分野はパーソナルモビリティだが、WRカーやF1、2輪界のF1であるMotoGPマシンの試乗もこなす。近年では大型のトラック&バス、トレーラーの公道試乗も行うほか、HVのバス&電車など、物流や環境に関する取材も多数担当。2007年度東京都交通局バスモニター。「JAF Mate」誌では、本誌初の二輪連載企画を4年間担当。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。

  • 日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事(ITS分科会リーダー)
  • (財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員
  • (協)日本イラストレーション(JILLA)協会 監事
  • 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2010年度から)
西村直人のACC最前線

過去の連載はこちら

日々進歩していくACC。ACCの歴史から技術の未来まで、じっくり解説します。 連載期間:2014年9月~2016年3月

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