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西村直人の「これからの自動運転、みんなの技術」

目前に迫る「自動運転」の時代。わが国の政府も2020年までの実用化を掲げています。
ハンドル操作が不要になる? 前方車両の追い越しまで車が自動でやってくれる?
いやいや、実は「自動運転」ってそれだけじゃありません。
自動運転の開発によって培われた技術は、さまざまな分野への転用が期待されています。
自動運転の技術と、その自動運転が変革していく社会を、最新情報を織り交ぜながら、
このコラムでは解説していきます。

第14回 「対歩行者自動ブレーキ」の安全性能評価結果
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試験の動画あり

近年、「衝突被害軽減ブレーキ」の普及が急速に進んでいます。その理由として、被害軽減効果が筆頭に挙げられますが、同時に自動車メーカーの企業努力による標準装備化も忘れてはなりません。衝突被害軽減ブレーキが乗用車に搭載された当初は、車両を検知するに留まっていましたが、ここ数年は歩行者を検知できるようになるなどシステムはより複雑化しています。

こうした状況を受け、国土交通省と独立行政法人自動車事故対策機構(NASVA)では、2014(平成26)年度から車両に対する自動ブレーキ(衝突被害軽減ブレーキ)や車線逸脱警報などのADAS(先進安全技術/Advanced Driver Assistance Systems)のアセスメント(客観的評価)を行ってきました。そして2016(平成28)年度からは、これまでの対車両だけでなく、対歩行者へのアセスメントが加わりました。

2016年12月1日、2016年度の前期自動車アセスメント評価結果として、「対歩行者自動ブレーキの安全性能評価(昼間)」が発表※1されました。ここでは対歩行者の検知機能がある衝突被害軽減ブレーキが装備された乗車定員10人未満の自動車(主に乗用車)と、貨物の運送を行う車両総重量2.8t以下の自動車(主に商用車)を対象にした、昼間の試験を行った車両の結果※2が掲載されています。

試験対象となる歩行者には「大人」と「子供」を模した規程のターゲット(人を模したダミー)が使われています。このダミーは欧州で行われているアセスメント(Euro-NCAP)でも使用されているものと同様です。歩行姿勢での身長は、大人が1800±20㎜/肩幅500±20㎜/体重は最大で4kg、子どもの身長は1154±20㎜/肩幅298±20㎜/体重は最大で2kgと定められています。

試験方法はこれまでの対車両の衝突被害軽減ブレーキと同様で、摩擦係数が0.9 程度を示している試験路(きれいな舗装が施された乾燥した一般道を想定)を使って行われます。そして①システムが自動的にブレーキ操作を行う「AEBS」と呼ばれる方法と、②システムが発した一次警報から1.2秒後にブレーキペダルを踏み4.0±0.25m/s2の減速度を0.2秒間で出す「FCWS」と呼ばれる方法、つまり「ピー」という警報ブザーから一定の時間で規定のブレーキ力をかけた際の作動状況を見る2つの試験が行われます。なお、ここでは厳格な運転操作が求められるため、専用のCPUを搭載したドライビングロボットが運転を担当します。

対歩行者ではさらに、走行している際にダミー(歩行者)が左側から横断する「CPN」試験(試験速度は10~60km/h)と、同様に走行中、駐車車両の陰から人が飛び出してきたことを想定した「CPNO」試験(同25~45km/h)が行われました。ダミーの歩行速度は試験項目に応じて5km/hと8km/hに設定し、試験車両が歩行者を認識してどれほど速度を落とすことができ、そして回避することができたのかを検証しています。

今回、予防安全性能アセスメントにおける「対車両の衝突被害軽減ブレーキ試験」に「昼間に限定した対歩行者の衝突被害軽減ブレーキ試験」が加わり、総合得点はこれまでの46点満点から71点へと変更されました。しかしこの数値は71点が最終値ではありません。2018(平成30)年度に導入が発表されている「夜間の衝突被害軽減ブレーキ」などをはじめ、評価が加わるたびに満点の数値は上昇していきます。

このように予防安全性能アセスメントの結果は数値化されることから一目瞭然である一方、試験は厳格な条件のもとに行われており、実際の道路環境とは必ずしも合致しないことが考えられます。そうしたことから、予防安全性能アセスメントの点数だけで車両の安全技術を評価することなく、またそうしたADASに対する過信を抱くことなく日頃から安全運転を心掛けてください。

※1http://www.nasva.go.jp/news/2016/161201.html

※2http://www.nasva.go.jp/gaiyou/pdf/2016/161201_1.pdf

「CPNO」試験では、駐車車両(ここでは遮蔽車両といいます)の車両寸法やボディカラーに詳細な規程が設けられており、前側(白色)と後側(黒色)の車間距離も1mと定められています。ダミー(歩行者)は前側車両の前方1m先をスタート地点とし、試験車両(赤色)の車幅中央部分と、右方向へと移動するダミー右側の中央部分が重なるポイントを基準に、試験車両の速度に応じた衝突判定が行われます。第14回のタイトルに使用している画像は、その状況の一部を再現しています。

公開日 2016年12月08日

西村 直人氏(交通コメンテーター)

西村 直人【交通コメンテーター】

特別編「CACCを試してみた」

1972年東京都生まれ。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。得意分野はパーソナルモビリティだが、WRカーやF1、2輪界のF1であるMotoGPマシンの試乗もこなす。近年では大型のトラック&バス、トレーラーの公道試乗も行うほか、HVのバス&電車など、物流や環境に関する取材も多数担当。2007年度東京都交通局バスモニター。「JAF Mate」誌では、本誌初の二輪連載企画を4年間担当。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。

  • 日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事(ITS分科会リーダー)
  • (財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員
  • (協)日本イラストレーション(JILLA)協会 監事
  • 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2010年度から)
西村直人のACC最前線

過去の連載はこちら

日々進歩していくACC。ACCの歴史から技術の未来まで、じっくり解説します。 連載期間:2014年9月~2016年3月

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