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HOME >  特別編: 第11回 運転支援技術「ProPILOT」 -西村直人の「これからの自動運転、みんなの技術」

西村直人の「これからの自動運転、みんなの技術」

目前に迫る「自動運転」の時代。わが国の政府も2020年までの実用化を掲げています。
ハンドル操作が不要になる? 前方車両の追い越しまで車が自動でやってくれる?
いやいや、実は「自動運転」ってそれだけじゃありません。
自動運転の開発によって培われた技術は、さまざまな分野への転用が期待されています。
自動運転の技術と、その自動運転が変革していく社会を、最新情報を織り交ぜながら、
このコラムでは解説していきます。

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特別編
第11回 運転支援技術「ProPILOT」
試乗の動画あり

運転支援技術が採用された車が市販車にも登場してきました。
今回は、同一車線自動運転技術「プロパイロット」が採用された、日産セレナに試乗して、その機能や走行の様子をお伝えします。

解説・監修=西村直人
写真・動画=勝尾仁

自動運転社会に対する期待が高まるなか、2016年8月、日産自動車のミニバン「セレナ」に運転支援技術である「ProPILOT」が搭載されました。日産自動車ではこのProPILOTを「同一車線自動運転技術」として紹介していますが、同時に2018年、2020年と3段階に分けて運転支援技術を進化させることも表明しています。つまり、今回セレナに搭載されたProPILOTはその第1弾という位置付けです。

日産自動車が運転支援技術を積極的に導入する大きな目標は「交通死亡事故のゼロ」の実現です。ミニバンは3列シートを備えていることから多人数(セレナの乗車定員は8名)での移動を得意とし、また荷物が積みやすいことから家族旅行などにも向いているため、一度に走る距離が増える傾向にあります。そうしたことから、日産自動車が技術の粋を集めた運転支援技術を高価格帯の高級車ではなくミニバンであるセレナに、自社の他車に先駆けて搭載したことは社会的意義がとても高いと言えるでしょう。

セレナに搭載されたProPILOTは高速道路や自動車専用道路において、
①自車が走行している車線のなかで前走車に追従走行を行い、
②道路上の白線や黄線を認識して車線の中央部分を維持するようにハンドル操作を支援します。

この①と②の技術はそれぞれがADAS(アドバンスド・ドライバー・アシスタンス・システム/先進安全技術)であることから、ProPILOTは2つのADASが高度に組み合わされた運転支援技術としてとらえることができます。①の技術はACC(アダプティブ・クルーズ・コントロール/追従走行支援機能)であり日産では「インテリジェントクルーズコントロール」と命名し、②の技術はLKA(レーン・キープ・アシスト/車線中央維持支援機能)であり日産では「ハンドル支援」と名付けています。

停止保持
自車の停止時間が3秒を超えた場合、停止状態を保持し続ける

自車の停止時間が3秒を超えた場合、停止状態を保持し続ける

ProPILOTは前走車や白線を認識しているなど、所定の条件を満たしていればハンドル右側に設けられた操作スイッチを2回押すだけで①と②の機能を同時に起動させることができ、②の機能だけを単独で解除することもできます。①のインテリジェントクルーズコントロールは、高速道路や自動車専用道路での使用を目的とした運転支援技術です。セレナのルームミラー位置から外側に向けられた光学式単眼カメラで前走車を認識している場合、時速30~100kmの車速域でドライバーがセットした車速を上限値として、前走車との距離を一定に保つようにアクセルとブレーキの操作をシステムがコントロールします。このとき、仮に車速が時速30kmを下回った場合でも前走車を認識している限り機能は継続され、前走車の停止に合わせてこちらも停止します。

自車が停止後3秒以内に前走車が発進すれば、ドライバーがなにも操作せずとも追従走行が再開されます。それ以上時間が経過した場合は、ボタン操作、もしくはアクセルペダルを軽く踏むことで前走車の発進に合わせて追従走行を開始します。なお、自車の停止が3分を越えると自動的に「電動パーキングブレーキ」が作動して、安全上の理由から①の機能は解除されます。また、同じく停止している時にドライバーがボタン操作を行い、そこから約3秒の間に前走車が発進した場合は、前走車の動きに合わせて追従走行を再開させることも可能です。②のハンドル支援は、ProPILOTを起動させていて車線を示す両側の白線や黄線(と前走車)を認識しているときに使用できます。車速が時速50km以下の場合は前走車がいることが優先条件です。

停止保持 → 追従走行開始
自車の停止時間が3秒を超えた場合でも、運転者の操作により追従走行を再開

自車の停止時間が3秒を超えた場合でも、運転者の操作により追従走行を開始

ProPILOTの作動状況は一目瞭然です。自車速度などが表示されるメーターの左側(カーナビゲーション画面の上部)に配置された専用ディスプレイである「アドバンスドドライブアシストディスプレイ」に作動状況がリアルタイムで表示されます。このディスプレイには前走車を示すアイコンや設定車速が大きく表示されるため、どんな状態で①と②が機能しているのかわかりやすく、加えてProPILOTが機能している状況では緑色(機能していない状況では白色)とするなど、直感的に理解できることも特徴です。

ProPILOTの作業状況が表示されるアドバンスドドライブアシストディスプレイ

ProPILOTの作動状況が表示されるアドバンスド ドライブアシスト ディスプレイ

ステアリング制御
カーブ走行中のステアリング制御

両側に白線がある場合は、車載カメラが白線を認識し、直線路はもちろん、カーブにおいても車線の中央を維持するようにステアリングの操舵アシストを行う。

高速道路で試乗を行いましたが、①の機能では一般的なACCと同じくスムースなアクセルとブレーキの操作が行われていました。②の機能に関してはしっかりとステアリングを握っている際の支援は滑らかである一方で、ステアリングに手を添えている程度の状況では、ドライバーにさらなるハンドル操作を促すかのように時折、ハンドルを小さく左右に動かす(車両の挙動に影響が出ない指1本分にも満たない小さな範囲)など、あくまでも運転支援技術であることを自ら「主張」しているように感じられました。

しかし、この主張はドライバーに過信を与えないHMI(ヒューマン・マシン・インターフェイス/人と機械の接点)という観点から考えると非常に興味深い部分です。その意味でProPILOTがもたらす運転支援技術は「人と機械の協調運転」という新たな運転環境をつくり出しており、来たるべく自動運転社会に向けた第一歩であると言えます。

公開日 2016年10月27日

西村 直人氏(交通コメンテーター)

西村 直人【交通コメンテーター】

特別編「CACCを試してみた」

1972年東京都生まれ。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。得意分野はパーソナルモビリティだが、WRカーやF1、2輪界のF1であるMotoGPマシンの試乗もこなす。近年では大型のトラック&バス、トレーラーの公道試乗も行うほか、HVのバス&電車など、物流や環境に関する取材も多数担当。2007年度東京都交通局バスモニター。「JAF Mate」誌では、本誌初の二輪連載企画を4年間担当。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。

  • 日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事(ITS分科会リーダー)
  • (財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員
  • (協)日本イラストレーション(JILLA)協会 監事
  • 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2010年度から)
西村直人のACC最前線

過去の連載はこちら

日々進歩していくACC。ACCの歴史から技術の未来まで、じっくり解説します。 連載期間:2014年9月~2016年3月

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