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西村直人の「これからの自動運転、みんなの技術」

目前に迫る「自動運転」の時代。わが国の政府も2020年までの実用化を掲げています。
ハンドル操作が不要になる? 前方車両の追い越しまで車が自動でやってくれる?
いやいや、実は「自動運転」ってそれだけじゃありません。
自動運転の開発によって培われた技術は、さまざまな分野への転用が期待されています。
自動運転の技術と、その自動運転が変革していく社会を、最新情報を織り交ぜながら、
このコラムでは解説していきます。

第6回 バスの自律自動運転 スイス編
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スイスといえば小高い山々とともに、大小複数の湖に囲まれた国というイメージが強いかと思います。そんな自然に囲まれたスイスに初めて訪れました。第5回で紹介したフィンランドの首都・ヘルシンキと同様に公共交通機関全般の調査が目的でしたが、スイスではさらに対象を絞り、国際オリンピック委員会の本部が置かれるローザンヌ(ヴォー州)を走るバスを中心に、ワインの産地であり中世の建物が多く残るシオン(ヴァレー州)では2016年6月23日から営業を開始した自律自動運転を行うシャトルバスに乗車しました。

ローザンヌは世界屈指の企業が数多く本社を構えていることでも有名です。スイスはEUに加盟しておらず、ローザンヌでは税制優遇措置がとられていることなどが要因であると言われていますが、それだけに安定的な税収が見込めるためバス路線は非常に充実しています。バスには通常のディーゼルエンジン(排出ガスレベル/Euro6対応)を搭載した車両やCNG(天然ガス)を燃料とする車両のほかに、電動駆動の車両も存在します。ローザンヌ地域公共交通局では現在237台のバスを管理していますが、そのうち1/3以上を占める86台が電気で走るトロリーバスなのです。

街の至る所に張り巡らされた架線から電力の供給を受け、車両が搭載しているモーターで駆動するトロリーバスは1970年代前半までは日本の各地でも走っていました。走行時の排出ガスがゼロであることから都市部を中心に普及したものの、今では黒部ダムの関電トンネルと立山トンネル区間を残すのみとなっています。

ローザンヌはレマン湖(最水深部は300m以上)の北側から斜め右上方へと平行四辺形型に広がっており、それに沿って都市計画がとられています。また、地域ごとに丘が多いため、市内にはきつい登り勾配路が点在していますが、そうした場面でもトロリーバスは電動駆動ならではの力強い加速力を活かして走りきります。ちなみに、ローザンヌを走るトロリーバスの多くは前後の車両が幌部分でつながり固定されている「連節バス」です。これは一度に運べる乗客を増やすためで、単車のバスが約70名の定員であるのに対して、連節バスの定員は130~150名(バスのタイプにより変動)と約2倍を数えます。また、公共交通機関の電動化を推し進めるローザンヌでは、1964年に消滅させた路面電車を2022年までに復活させるとのことです。新型路面電車の定員は250名(1両)と連節バスのさらに2倍近くにまで及びます。

一方、シオンでは自律自動運転での営業を行うシャトルバス(定員11名)に乗車しました。過去2年にわたる実証実験を経て、シオン中心街にある歩行者エリアでの運行が国から認可されました。SIPにおけるレベル3相当の自律自動運転(ACC最前線第17回参照)を行うため車両には運転手はいませんが、緊急時に車両を停止させるための係員の乗車が義務づけられています。

運行時の最高速度は20km/hと定められていますが、歩行者エリアを走行するため車載センサー(2つのレーザーレンジファインダーと複眼光学式カメラ)で歩行者や障害物を認識している間は人がゆっくり歩く程度にまで速度を落として運行します。営業運行は2台で行われ、今後2年間にわたる走行時のデータを収集し、車両や自律自動運転システムの改善を図りながら、2020年までには他の車両との混合交通となる公道での運行も目指していくとのことです。

ローザンヌのトロリーバス

ローザンヌのトロリーバス。車体から伸びるポールは架線から約3.8m横方向へずれても外れないように設計されています。これにより車道から離れて設置されている停留所に対してもピタリと幅寄せすることができます。

シオンで営業運行を行う自律自動運転型のシャトルバス

シオンで営業運行を行う自律自動運転型のシャトルバス。車体はフランスの「NAVYA」製。

公開日 2016年07月22日

西村 直人氏(交通コメンテーター)

西村 直人【交通コメンテーター】

特別編「CACCを試してみた」

1972年東京都生まれ。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。得意分野はパーソナルモビリティだが、WRカーやF1、2輪界のF1であるMotoGPマシンの試乗もこなす。近年では大型のトラック&バス、トレーラーの公道試乗も行うほか、HVのバス&電車など、物流や環境に関する取材も多数担当。2007年度東京都交通局バスモニター。「JAF Mate」誌では、本誌初の二輪連載企画を4年間担当。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。

  • 日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事(ITS分科会リーダー)
  • (財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員
  • (協)日本イラストレーション(JILLA)協会 監事
  • 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2010年度から)
西村直人のACC最前線

過去の連載はこちら

日々進歩していくACC。ACCの歴史から技術の未来まで、じっくり解説します。 連載期間:2014年9月~2016年3月

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