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HOME >  第5回 トラムの自律自動運転 ヘルシンキ編 -西村直人の「これからの自動運転、みんなの技術」

西村直人の「これからの自動運転、みんなの技術」

目前に迫る「自動運転」の時代。わが国の政府も2020年までの実用化を掲げています。
ハンドル操作が不要になる? 前方車両の追い越しまで車が自動でやってくれる?
いやいや、実は「自動運転」ってそれだけじゃありません。
自動運転の開発によって培われた技術は、さまざまな分野への転用が期待されています。
自動運転の技術と、その自動運転が変革していく社会を、最新情報を織り交ぜながら、
このコラムでは解説していきます。

第5回 トラムの自律自動運転 ヘルシンキ編
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我々が日頃から乗客としてお世話になっている公共交通機関。電車やバス、路面電車などがその代表ですが、そうした乗り物にも乗用車と同じく、自動運転技術が導入されるのでしょうか。今回は大小300もの島々を有する北欧フィンランドの首都・ヘルシンキに出向き、発達した公共交通機関の現状と自律自動運転の可能性を探ってみました。

ヘルシンキの主要道路は総延長距離にして一般道が1080kmで高速道路は70km。そして電車が25km、トラム(路面電車)は52kmあり、地下鉄にいたっては東方向に21kmで2020年頃を目処に西方向にも21km延伸される計画があります。バスは中心部を主にした路線構成です。現在ヘルシンキでは、約36%の住人がこうした公共交通機関を利用しています。

ヘルシンキの街を歩くと、トラムが縦横無尽に走っていることに驚かされます。日本でも路面電車を走らせている都市が数多くありますが、ヘルシンキのそれは裏通りや中心部から離れた場所でも見受けられ、さらに運行ダイヤがとても過密であることから目にする機会が多くなるようです。

早速、そのトラムに乗ってみました。車両は40年以上前の古いものから最新鋭のタイプまで様々で、車両ごとに車体の長さや扉の位置が違うことから、停留所での乗車位置には多少のずれが生じます。扉が閉まるとすぐさま発車するのですが、ここで気になる点が見つかりました。発進時の加速力が非常に強力で、立っている乗客(これを「立ち席」と言います)の多くが身体を前後に大きく揺らしているのです。計測機器を持ち込んだわけではありませんが、発進時の瞬間的な加速度は、体感上で日本の路面電車の1.5~2倍近いものがあります。

また、ブレーキも滑らかさに欠く印象です。トラムは道路上に埋め込まれた線路を走行するため、乗用車や二輪車、自転車などと道路を共有します。そのため、それらとの接触を避けるため強いブレーキをかけることがあり、朝夕のラッシュ時はそれが頻発していました。気になったのは、停留所や赤信号における通常の停止時でも強めのブレーキがかかることです。滞在中、15回ほど各路線に乗車しましたが、どの運転手の操作でも加速/減速時における急な動作が気になりました。

トラムに自動運転技術が搭載されると、こうした急な動作を減らせることが期待でき、安全な移動環境を手にすることができそうです。また、通勤ラッシュや過密ダイヤによりトラムがある一か所に集中してしまう現状も、自律自動運転を管理する運行管理センターの指令により大幅に緩和されるでしょう。一方で、自車周囲の交通環境を認識するためのセンサーは乗用車よりも格段に増え、それらの統合制御は複雑になるなど実用化には課題があります。

現在ヘルシンキでは「未来交通システム」のスローガンを掲げその一環として、10人乗りの小さなシャトルバスによる自律自動運転を実証実験として行っています。これは専用走行路を運転手なしで走る自動運転技術を搭載した小型バスで、バッテリーを搭載しモーターで駆動する公共交通機関です。また、こうした取り組みは欧州各国で行われており、歩行者天国や大学構内など限られたエリアでの実証実験が継続中です。

ヘルシンキのトラムを含めた公共交通機関利用者は年間48万人以上にのぼります。

ヘルシンキのトラムを含めた公共交通機関利用者は年間48万人以上にのぼります。

公共交通機関では写真の1DAYチケット(10ユーロ)を購入すると、公共交通機関が1日乗り放題になります。

公共交通機関では写真の1DAYチケット(10ユーロ)を購入すると、公共交通機関が1日乗り放題になります。

公開日 2016年07月14日

西村 直人氏(交通コメンテーター)

西村 直人【交通コメンテーター】

特別編「CACCを試してみた」

1972年東京都生まれ。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。得意分野はパーソナルモビリティだが、WRカーやF1、2輪界のF1であるMotoGPマシンの試乗もこなす。近年では大型のトラック&バス、トレーラーの公道試乗も行うほか、HVのバス&電車など、物流や環境に関する取材も多数担当。2007年度東京都交通局バスモニター。「JAF Mate」誌では、本誌初の二輪連載企画を4年間担当。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。

  • 日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事(ITS分科会リーダー)
  • (財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員
  • (協)日本イラストレーション(JILLA)協会 監事
  • 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2010年度から)
西村直人のACC最前線

過去の連載はこちら

日々進歩していくACC。ACCの歴史から技術の未来まで、じっくり解説します。 連載期間:2014年9月~2016年3月

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