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西村直人の「これからの自動運転、みんなの技術」

目前に迫る「自動運転」の時代。わが国の政府も2020年までの実用化を掲げています。
ハンドル操作が不要になる? 前方車両の追い越しまで車が自動でやってくれる?
いやいや、実は「自動運転」ってそれだけじゃありません。
自動運転の開発によって培われた技術は、さまざまな分野への転用が期待されています。
自動運転の技術と、その自動運転が変革していく社会を、最新情報を織り交ぜながら、
このコラムでは解説していきます。

第31回 高齢車の運転と先進安全技術
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人は誰しも加齢によって身体的な機能が低下していく傾向にあります。また、運転操作に直接関係する「認知、判断、操作」の各機能についても、やはり年齢と共に低下していきます。一方で、日本は超高齢社会となって久しく今後もこの傾向は継続することから、交通事故抑制を目的に高齢者の運転特性を鑑みた先進安全技術の開発や普及促進が期待されています。

2017年秋、公益財団法人交通事故総合分析センター(イタルダ)から、高齢者の運転による死傷・死亡事故低減に向けた調査と分析が発表されました。それによると65歳以上の高齢者※1が第一当事者※2となる死傷事故は2014年以降減少傾向ながら、75歳以上の後期高齢者が第一当事者になる死亡事故は2013年との比較で24%増加しています。さらに、高齢者がクルマを運転している際の特徴として、「出会い頭事故」が最多で全体の29%を占め、死亡事故では「路外逸脱事故」が20.9%ともっとも高くなっています。

事故の要因では出会い頭事故の場合、“ぼんやり運転”などによる前方不注意がもっとも多く、街路樹や道路に設置されているカーブミラー、さらには駐車車両に気をとられている際にも発生しやすい傾向です。また、路外逸脱事故では運転中の眠気や急病が引き金となり操作不適(不適切な運転操作)による事故が多いとの統計が出ています。認知、判断、操作の認知段階で危険な状況の発見が遅れ、さらに判断、操作段階で思い違いや操作ミスが事故要因としては高くなっていることが報告されています。

こうした状況を受け2017年4月、政府では自律自動ブレーキを搭載した安全運転サポート車を「セーフティ・サポートカー(サポカー)」、自律自動ブレーキとペダル踏み間違い時加速抑制装置(踏み間違い抑制装置)を搭載した安全運転サポート車を「セーフティ・サポートカーS(サポカーS)」として発表し、国をあげて普及促進に力を入れています。そのうちサポカーSは以下の3つに分類されています。

サポカーSベーシック 対車両に対応する低速(約30km/h以下)自律自動ブレーキ+踏み間違い抑制装置
サポカーSベーシック+ 対車両に対応する自律自動ブレーキ+踏み間違い抑制装置
サポカーSワイド 対車両&歩行者に対応する自律自動ブレーキ+踏み間違い抑制装置、車線逸脱警報、ロー/ハイビーム自動切り替え式先進ライト

「サポカー」は全年齢の運転者に対する先進安全技術の総称であり、「サポカーS」はとりわけ高齢者の交通事故を抑制することが期待できる先進安全技術の総称です。サポカーは自動車メーカーが独自に先進安全技術を追加することが可能で、高齢運転者による事故の抑制に効果がある技術については、今後各社の判断で安全運転サポート車の機能として追加できます。

また、この先登場する新型車の多くはサポカーに準じた先進安全技術を搭載することが見込まれ、2020年頃までにはほぼすべての車種に自律自動ブレーキ+踏み間違い抑制装置(サポカーSベーシック相当以上)を標準装備、またはオプション装備として設定される見込みです。同時に販売の現場では、ディーラー等における普及啓発として試乗機会の提供などが行われるほか、後付けの警報装置の販売や取付けが見込まれます。さらに、2018(平成30)年1月1日以降が保険始期日(補償が始まる日)となる自家用乗用車(普通・小型)の契約で自律自動ブレーキが搭載されている場合は、任意自動車保険のASV割引が適応され保険料が9%割引(車種と年式は各保険会社に問い合わせ)となります。

高齢車の運転と先進安全技術:自動車メーカー各社では加齢によって身体的機能が低下したことに対応するクルマ作りを行っていますが、疑似的に各部の動きを抑制したり、視野が狭くなった状態をつくり出す機具を身体に装着することで、身体的機能の低下がもたらす運転操作への影響を客観的に判断することができます。 高齢車の運転と先進安全技術:マツダではアクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替え動作がスムースに行えるよう、ペダルの段差が少ない設計を採り入れています。

自動車メーカー各社では加齢によって身体的機能が低下したことに対応するクルマ作りを行っています。また、こうした機具を身体に装着することで疑似的に各部の動きを抑制したり、視野が狭くなった状態をつくり出したりすることで、身体的機能の低下がもたらす運転操作への影響を客観的に判断することができます。マツダではアクセルペダルからブレーキペダルへの踏み替え動作がスムースに行えるよう、ペダルの段差が少ない設計を採り入れています。

※1数値、並びに高齢者と後期高齢者の定義は2017年12月現在のものでイタルダ発表。

※2最初に交通事故に関与した車両等の運転者/歩行者のうち、当該交通事故における過失が重い者をさす。過失が同程度の場合には人身損傷程度が軽い者がそれにあたる。

参考/「サポカー/サポカーS」って?
https://www.safety-support-car.go.jp/

公開日 2017年12月13日

西村 直人氏(交通コメンテーター)

西村 直人【交通コメンテーター】

特別編「CACCを試してみた」

1972年東京都生まれ。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。得意分野はパーソナルモビリティだが、WRカーやF1、2輪界のF1であるMotoGPマシンの試乗もこなす。近年では大型のトラック&バス、トレーラーの公道試乗も行うほか、HVのバス&電車など、物流や環境に関する取材も多数担当。2007年度東京都交通局バスモニター。「JAF Mate」誌では、本誌初の二輪連載企画を4年間担当。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。

  • 日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事(ITS分科会リーダー)
  • (財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員
  • (協)日本イラストレーション(JILLA)協会 監事
  • 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2010年度から)
西村直人のACC最前線

過去の連載はこちら

日々進歩していくACC。ACCの歴史から技術の未来まで、じっくり解説します。 連載期間:2014年9月~2016年3月

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