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西村直人のACC最前線

第38回 自律自動運転が抱える課題とは?
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自律自動運転が本格的な普及期を迎えるためには、さまざま課題を乗り越えなければなりません。このうち、技術的な課題である車載センサーの精度や耐久信頼性の向上、そして小型化といった領域は、あらゆる工業製品に共通するテーマです。よって、これまでの多くがそうであったように、時間の経過とともに進む技術革新によって克服できるものが多いと考えられています。また、自律自動運転には欠かせない「電子地図」においても、プログラムの開発には膨大な時間と労力が必要になるものの、大筋でこの考え方が当てはまります。

しかし、どういった自律自動運転技術が必要であるのかという、いわば存在を根本から定義する領域は、過ぎゆく時間が解決してくれるものではありません。解決には各世代を通じた深い議論が不可欠です。こうした状況を受け2016年3月23日、国土交通省と経済産業省の同時発表による自動走行ビジネス検討会における報告書「今後の取組方針」では、自動走行のレベル分けに米国連邦運輸省道路交通安全局 (NHTSA/National Highway Traffic Safety Administration)の定義(第17回)が用いられることが記されました。

この報告書のなかでは自律自動運転の考え方として、①自動走行 (一般車両レベル2/レベル3)として、早ければ2018年までに自動走行 (レベル2) を実現しつつ、協調が重要となる8分野(地図、通信、社会受容性、人間工学、機能安全等、セキュリティ、認識技術 判断技術)を設定し、既存事業も活用しつつ取組みを進める。②自動走行(一般車両レベル4)として、専用空間等でのレベル4を先行して検討し、一般交通との混在も含めたレベル4について、海外を含め幅広い関係者の考え方を収集して検討を深めていくとし、トラックの自律自動運転を含めた全5項目が公表されました。

こうした議論が進むなか、車載センサーの精度向上や小型化といった競争分野においては、すでに特許出願数が各国各地域を上回るなど積極的な開発が日本独自に行われており、トップランナーの地位を築いていこうとする動きが見られます。その一方で日本政府は、自律自動運転技術の根幹にまつわる基礎分野において、国連(United Nations)内の欧州経済委員会(U.N.Economic Comission for Europe)に設置されている自動車基準調和世界フォーラム(UN/ECE/WP29)に、1970年代より参画するなど国際的な協調も図っています。

1958年には、国連に加盟した国家のうち52カ国によって「国連の車両・装置等の型式認定相互承認協定」(これを1958年協定と言います)が締結(日本は1998年に締結された「国連の車両等の世界技術規則協定」より加盟)されました。ここでは自律自動運転技術の普及を大きく左右するUN/ECE規則のうち、R46「後写鏡」とする鏡の代わりに光学式カメラを使った電子ミラーとする技術(下部キャプション部参照)の規則改正が日本主導により行われています。

これまでみてきた通り、ACCからはじまった自律自動運転の世界は希望に満ちあふれています。しかし、法整備や使い方に課題があることもわかってきました。よって、我々ユーザーは自律自動運転技術の開発に従事する自動車メーカーやサプライヤー企業などに対し、もっと声を大にして要望をストレートに表現し、共に自律自動運転技術をさらに良いものへと育んでいく必要があります。また、自律自動運転技術の要となる人工知能(Artificial Intelligence)においてもさらなる思慮深い検証が必要です。先頃、複数のIT企業が研究開発を行っているAIが、人間の問いかけに対して過激な反応を示したと話題になりましたが、AIを創り出すのが人間であれば、そのAIにプログラムという名の「知識」や「倫理」を与える(≑教える)のも人間の役割です。本格的な自律自動運転時代を過ごす未来の子供たちのためにも、自動車という枠組みにとらわれないAIの開発が継続されることを期待します。

出典
国土交通省/国連欧州経済委員会規則(UN/ECE規則)の採用に向けた工程表
国土交通省/自動車基準調和世界フォーラム(WP29)の概要
経済産業省/自動走行ビジネス検討会今後の取組方針(検討結果)の概要について

自律自動運転が抱える課題とは?

この電子ミラーはアメリカの商用車メーカーが開発中の自律自動運転トラックに搭載されています。試乗した結果、視野角は通常の鏡を使ったミラーに近く、解像度やコントラストは問題ないように思えました。しかし、鏡のように上体をずらして写し出す場所を変えることはできませんし、夜間、さらに雨天ともなると条件はより厳しくなります。とはいえ、電子ミラーはこの先の自律自動運転には欠かせない要素技術ですので、みなさんで応援していきましょう!

公開日 2016年03月31日

西村 直人氏(交通コメンテーター)

西村 直人【交通コメンテーター】

特別編「CACCを試してみた」

1972年東京都生まれ。クルマとバイク、ふたつの社会の架け橋となることを目指す。得意分野はパーソナルモビリティだが、WRカーやF1、2輪界のF1であるMotoGPマシンの試乗もこなす。近年では大型のトラック&バス、トレーラーの公道試乗も行うほか、HVのバス&電車など、物流や環境に関する取材も多数担当。2007年度東京都交通局バスモニター。「JAF Mate」誌では、本誌初の二輪連載企画を4年間担当。大型第二種免許/けん引免許/大型二輪免許、2級小型船舶免許所有。

  • 日本自動車ジャーナリスト協会(A.J.A.J)理事(ITS分科会リーダー)
  • (財)全日本交通安全協会 東京二輪車安全運転推進委員会 指導員
  • (協)日本イラストレーション(JILLA)協会 監事
  • 日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員(2010年度から)

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